AI × 数学用語集
AI のあるあるを読むときに出てくる数学・統計・機械学習の言葉を、日常語に寄せて整理するページです。
記事が増えるにつれて、用語も少しずつ追加していきます。まずは AI を数学でのぞくための入口になる基本語から置いています。
A
- AI
- 人工知能の総称。ここでは「人間の判断や生成を手伝う計算システム」くらいの広い意味で使う。
- Attention(注意機構)
- 文章や画像のどの部分を重く見るかを決める仕組み。Transformer系AIの中核で、重みづけの考え方として見ると理解しやすい。
- Autoregressive generation(自己回帰生成)
- ここまでに生成したトークン列を条件に、次のトークンを一つずつ選んでいく生成方法。LLMの返事が少しずつ流れてくることや、前の出力に後続が依存することの基本構造になる。
- Amdahl’s Law(アムダールの法則)
- 処理を並列化したときの速度向上が、並列化できない部分によって頭打ちになることを示す法則。並列化可能な割合を p とすると、計算機を無限に増やしても最大速度向上は 1/(1−p) に限られる。
B
- Bayes(ベイズ)
- 新しい情報を見たあとで、考えの確からしさを更新する見方。AIの予測や不確実性を考えるときの基本語。
- Base Rate(ベースレート)
- ある特徴が母集団全体でどれくらい普通に起きるかという割合。これが高い特徴は誰にでも当てはまりやすく、当たっても個人を見抜いた証拠にはなりにくい。
C
- Classification(分類)
- 入力をいくつかのカテゴリに分けるタスク。迷惑メール判定、画像ラベル付け、感情分類などが代表例。
- Cosine Similarity(コサイン類似度)
- 2つのベクトルの向きがどれくらい近いかを見る指標。文章検索やレコメンドで「意味が近い」を測るときによく使われる。
- Covariance Matrix(共分散行列)
- 複数の特徴が互いにどのくらい一緒に動くかを並べた行列。対角成分は各特徴の分散で、主成分分析ではこの行列から残す軸を求める。
- Calibration(較正)
- 予測が出す確信度と、実際に当たる割合が一致しているかを見る考え方。「70%」と言って本当に7割当たるなら較正がとれている。
- Central Limit Theorem(中心極限定理)
- 独立に繰り返した観測の平均が、試行回数を増やすほど正規分布に近づくという極限定理。1回ごとの出来がばらついていても、平均を見ると判断が安定する理由を説明する。
D
- Data Distribution(データ分布)
- データがどの値の周辺に、どれくらいの頻度で現れるかを表す見方。AIの得意不得意は分布に強く影響される。
- Diffusion model(拡散モデル)
- ランダムなノイズから出発し、学習したノイズ除去を何度も重ねてデータらしい画像や音を生成するモデル。画像生成ではプロンプトが、どの方向へノイズを削るかを条件づける。
- Dot product(内積)
- 二つのベクトルの対応する成分を掛けて足し合わせる計算。向きのそろい方や重なりを測る基本操作で、コサイン類似度や行列のかけ算の中身にも現れる。
E
- Embedding(埋め込み)
- 文章・画像・単語などを、意味の近さを保ったまま数値ベクトルに変換したもの。検索やRAGの土台。
- Expected Utility(期待効用)
- ある選択から得られそうな「良さ」の見積もり。確率で重みづけした平均的な価値で、AIが応答を選ぶ基準としても読める。
F
- Feature(特徴量)
- モデルが判断に使う情報の切り口。人間が設計する場合も、AIが内部で学習する場合もある。
- False Positive(偽陽性)
- 本当は該当しないものを、該当すると判定してしまう誤り。ToDo抽出では、未決定の話をタスクとして拾ってしまう「拾いすぎ」にあたる。
- False Negative(偽陰性)
- 本当は該当するものを、該当しないと判定して見逃す誤り。ToDo抽出では、決定済みの宿題をタスク一覧から落としてしまう「こぼし」にあたる。
G
- Gradient Descent(勾配降下法)
- 誤差が小さくなる方向へ少しずつパラメータを動かす最適化手法。AIの学習を支える代表的な考え方。
H
- Hallucination(ハルシネーション)
- AIが事実らしく見える誤りを出す現象。確率的にもっともらしい文を作ることと、事実確認は別だと分かる例。
I
- Interval Scale(間隔尺度)
- 差にも意味がある数値の扱い方。摂氏温度のように、20℃と22℃の差を30℃と32℃の差と同じ2度として扱える。
L
- Linear Algebra(線形代数)
- ベクトルや行列を扱う数学。AIでは文章・画像・モデル内部の状態を数値の並びとして扱うため、基礎体力になる。
- Loss Function(損失関数)
- 予測がどれくらい外れているかを数値化する関数。AIはこの値を小さくする方向に学習する。
- Logistic Regression(ロジスティック回帰)
- 複数の手がかりから、ある結果が起きる確率を0〜1で推定するモデル。線形に足し合わせたスコアをシグモイド関数に通し、分類や「起きやすさ」の説明に使う。
- Likelihood(尤度)
- モデルがある文や結果を「どれくらいありそうか」と見積もる度合い。流れの自然さを測る量で、内容の正しさとは別の軸。
- Law of Large Numbers(大数の法則)
- 同じ条件で観測を重ねると、標本平均が真の平均や傾向に近づいていくという法則。日ごとのノイズが平均で打ち消され、好みや性能の芯が見えやすくなる。
- Latency(レイテンシ)
- 処理を依頼してから結果が返るまでの、1件あたりの待ち時間。短いほど個々の応答は速いが、大量の仕事をさばける量とは別の指標。
- Little’s Law(リトルの法則)
- 安定した待ち行列で、系内の平均仕事数 L、平均到着率 λ、平均滞在時間 W の関係を L=λW と表す法則。同時に抱える量・流入の速さ・待ち時間を結びつける。
M
- Matrix(行列)
- 数値を表のように並べたもの。画像、重み、変換、バッチ処理など、AI内部では行列計算が大量に使われる。
- Model(モデル)
- データから規則性を学び、入力に対して出力を返す仕組み。AIの「本体」と呼ばれることが多い部分。
N
- Normal Distribution(正規分布)
- 平均付近が多く、離れるほど少なくなる釣鐘型の分布。統計の基準線として頻出する。
O
- Overfitting(過学習)
- 訓練データに合わせすぎて、未知データへの対応力が落ちる状態。丸暗記と理解の違いに近い問題。
- Ordinal Scale(順序尺度)
- 順序だけに意味がある数値の扱い方。「AはBより上」は言えるが、差の大きさまでは比べられない。
P
- Probability(確率)
- 起こりやすさを0から1の数で表す考え方。AIの予測、分類、生成の背後にある。
- Prompt(プロンプト)
- 生成AIに渡す指示文。単なる命令文ではなく、入力条件・制約・文脈を設計するインターフェース。
- Principal Component Analysis(主成分分析)
- 多くの特徴を、ばらつきが大きい向きから少数の軸に取り直す手法。データの大きな流れを残しながら次元を減らせる一方、小さいが意味のある差は落ちることがある。
- Projection(射影)
- ベクトルやデータをある軸や平面に写し、その方向の成分だけを見る操作。要約の比喩では、元の文章が持つ多くの特徴を少数の軸へ押し込むことに対応する。
- Prediction interval(予測区間)
- ある条件のもとで、次に観測される個別の値がどの範囲に入りそうかを示す区間。平均の不確かさを見る信頼区間とは異なり、ランキングやスコアの一件ごとのブレ幅を読むときに効く。
- Prior probability(事前確率)
- 新しい証拠や条件を見る前に、候補がどれくらいありそうかを表す見込み。おすすめで有名どころが出やすいのは、手がかりが弱いと事前確率の高い候補が残りやすいからだと読める。
R
- Regression(回帰)
- 数値を予測するタスクや、その関係を表す方法。売上予測、価格推定、傾向の把握などで使われる。
- Regression to the mean(平均への回帰)
- たまたま極端に良い値や悪い値が出たあと、次の観測値は平均に近いところへ戻りやすいという統計的な現象。AIの出来を直前の神回だけと比べると、実力が落ちていなくても劣化したように見えやすい。
- Representation Learning(表現学習)
- タスクに有用な特徴量や表現を、人が手作業で設計するのではなくデータからモデルに学習させるアプローチ。埋め込みは、単語の使われ方から意味を表す軸を獲得する代表例。
S
- Sampling(サンプリング)
- 候補の中から確率的に選ぶこと。生成AIの出力が毎回少し変わる理由の一つ。
- Sigmoid Function(シグモイド関数)
- 入力スコアを0〜1の確率らしい値に変換するS字形の関数。ロジスティック回帰では、手がかりの合計がどの程度結果の確率を押し上げるかを表す。
- Standard Error(標準誤差)
- 平均値などの推定量そのものがどれくらい揺れるかを表す量。標本平均では、おおよそ1回ごとのばらつき σ を √n で割った大きさになる。
- Softmax(ソフトマックス)
- 複数のスコアを、すべて正で合計が1になる重みへ変換する関数。Attentionでは、各語への注目度を表す配分を作るために使われる。
T
- Token(トークン)
- AIが文章を処理するときの基本単位。単語そのものではなく、文字列を分割した部品として扱われる。
- Threshold(しきい値)
- スコアがこの値を超えたら採用する、と決める境界線。しきい値を下げると拾いすぎが増え、上げると見逃しが増えるため、分類の振る舞いを左右する。
- Throughput(スループット)
- 単位時間あたりに処理できる仕事の量。GPUは同じ形の計算を大量に並べることで、1件ごとの速さより全体のスループットを高めやすい。
V
- Vector(ベクトル)
- 向きと大きさを持つ数値の並び。AIでは意味・特徴・状態を表す入れ物としてよく使われる。
- Variance(分散)
- 値が平均の周りでどれくらい散らばるかを表す量。主成分分析では、分散が大きい方向ほどデータ全体の違いをよく表す軸として優先される。